質問への回答
● 液状化が起こりやすい地盤とは
徳島県内の吉野川下流域では、山沿いを除いてほとんどの場所で、地表面から2~5m掘り下げると砂の層が出てきます。砂の層は10m~15mほどの厚みがあり、その下に粒の細かい土(シルトとか粘土と呼ばれる)、さらにその下に砂などの層が重なっていて、比較的安定した地層は地下40mより深い所になります。
液状化が起こりやすい地盤は、浅い(地下20m以内)ところにある砂の層です。地下にある砂は粒と粒が噛み合いつつ、その間にはすき間があり、すき間は地下水(間隙水)で満たされている状態で、一応固まっているようになっているだけです。そこに地震の揺れなど、強い力が加わると液状化現象が起こります。
● 液状化現象とは
まず、液状化しやすい地盤に強い力(地震の揺れ)が加えられると、砂の粒と粒が噛み合っていたものが、間隙水の圧力が高まることで固まっていた砂の粒がバラバラになり、砂と間隙水とが一緒にかき混ぜられた状態になります。
次に、水よりも重い砂が沈み始めます。このときに、元々の粒と粒のすき間よりも小さくなりながら沈下していきます。すると、元々砂粒のすき間にあった水が、すき間が小さくなるので行き場を失い、さらに水圧が高まって地表に噴き上げたりするなどの現象が起こります。
● 液状化するとどうなるか
地盤が液状化する一連の過程で、地表面に凸凹が生じるなどの現象が発生します。
例えば、東日本大震災の一つとして、千葉県のテーマパーク周辺の駐車場などに水がたまった光景は衝撃的でした。このように、液状化現象は全部の砂の粒が沈下すると、ひと段落を迎えて落ち着いた状態に戻ります。液状化が起きると、土地は吹き上げた砂や水でドロドロの沼のような状態になってしまいます。「液状化」の名前はそこから付けられました。
地盤が液状化すると、地表部が軟弱になって家が傾くなど、多くの被害が発生します。
● 液状化の起こりやすい条件とは
最初に述べた地盤などは、液状化しやすい条件がそろっているので気を付ける必要があります。
1.砂浜のような緩い砂がある。
2.地下水の水位が高い。(地表から10m以内)
3.土の層があっても粘土などの小さい粒の成分が少ない(35%以下)
● 液状化を防ぐ対策について
以下の工法は液状化のメカニズムや条件を取り除く代表的な工法です。
1.強い地層までコンクリート杭などを打ち込む杭工法
2.地震の揺れによる間隙水の高まりを速やかに逃がすドレーンパイプ工法
3.砂の杭を地盤に押し込み、地盤の密度を高めるサンドコンパクションパイル工法
最近では、地中に空気を注入して水圧が発生しにくくする工法なども研究されています。