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質問への回答

増田淳が設計した橋を教えてください

1.増田 淳 氏(1883年~1947年) 香川県高松市生まれ
    ・1907年 東京帝国大学工科大学土木科卒
    ・1908年~ アメリカにて橋梁の設計技術を磨き、30橋の橋梁を設計施工
    ・1922年~ 東京に設計事務所を開設し、地方自治体(東京府、徳島県等)の嘱託技師として道路橋の設計、施工監理を行う。
2.徳島県内で設計した橋
  徳島県内で設計した橋は、表-1に示す5橋です。

     表-1 徳島県内の橋梁
橋梁名 設計年 橋長(m) 幅員(m) 上部構造形式 径間数 河川名 現存
勝浦川橋 大正13年(1924) 147.7 7.3 RC桁橋6連+SRC桁橋4連 10 勝浦川
大松川橋 大正13年(1924) 157.2 7.3 RC桁橋6連+SRC桁橋5連 11
三好橋 大正13年(1924) 243.5 6.1 3鉸式鋼補剛トラス吊橋+鋼鈑桁橋2連 5 吉野川
穴吹橋 大正15年(1926) 416.8 5.5 ゲルバー式鋼ワーレントラス橋+鋼鈑桁橋15連 18 吉野川
吉野川橋 大正15年(1926) 1071.0 6.0 鋼曲弦ワーレントラス橋17連 17 吉野川

 注1)SRCは鉄骨鉄筋コンクリート、鉸はヒンジを示す
 注2)大松川橋の下には当初大松川が流れていましたが、現在、川は流れていません
 注3)三好橋は昭和63年(1988)6月、右岸下流側アンカーの主ケーブルが腐食が原因と思われる破断が見つかり、吊橋中央部分がアーチ橋に構造変換された。完成は平成元年(1989)9月

大松川橋

大松川橋

在りし日の穴吹橋

在りし日の穴吹橋

完成当初の三好橋

完成当初の三好橋

アーチ橋に変換された三好橋

アーチ橋に変換された三好橋

吉野川橋

吉野川橋

3.四国内での橋梁
  四国内では、愛媛県にある長濱大橋1橋のみです

                            表-2 四国内の橋梁
橋梁名 設計年 橋長(m) 幅員(m) 上部構造形式 径間数 河川名 現存
長濱大橋 昭和8年(1933) 226.0 5.5 ポニー式鋼直弦ワーレントラス橋5連+可折リンク式電動跳開橋 7 肘川

長濱大橋

長濱大橋

なお、増田淳氏が設計した橋は76橋有り、そのうち31橋が現存しています。(日本に30橋、台湾に1橋)

参考文献
  1)加賀晃次:「増田淳の設計手法と設計思想に関する研究」 徳島大学先端技術科学教育部博士論文 2010年3月
  2)「現存する増田淳が設計した橋梁」 インターネット 2006年10月より転載
  3)社)日本橋梁建設協会偏『日本の橋』 朝倉書店 1985年3月 P63より転載

『技術士7月号』に掲載された「黒い円板」についてお教えください。基準以上の「水のきれいさ」や「人が感じる僅かな水質の変化」を表すことは難しい。そのため…(23p)

 投稿論文内でご紹介した「水のきれいさ」や「人が感じる僅かな水質の変化」を測定する方法は、高知県が定めた「四万十川清流基準」の手引書に基づく方法です。
 高知県はこの手引書の中で、従来の環境基準項目の他に、四万十川清流基準として、清流度、水生生物、窒素、リンの4項目を設定し、四万十川水系の河川において、基準地点、基準値等を定めています。
1.「黒い円板」とは、どんなものか?
 清流度を測定する時には、黒い円板(ブラックディスク)と清流度計を使います。ブラックディスクは、直径20㎝の円板で両面・側面を黒で塗り、持ち手を付けたものです。清流度計は河川の中で水中を水平方向に見るためのもので、内部に45度の角度で鏡をはった箱メガネのようなものです。
 清流度の測定は2人一組で行い、一人がブラックディスクを水中で水平に移動させ、もう一人が清流度計でこれを見て、見えなくなる時の清流度計とブラックディスク間の水平距離が清流度となります。

出典:高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, p.8-9, 2005.3

出典:高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, p.8-9, 2005.3


2.なぜ黒色がいいのか?
 手引書では、つや消しのために黒く塗るとされています。実際に使ってみると、円板が白色だと、太陽の位置やディスクの角度などにより、水中でディスクが見えにくい場合がありました。

3.どのくらいの精度か?
 高知県のホームページ* で、四万十川水系の河川で過去に実施した調査結果が公表されており、四万十川清流基準(清流度、全窒素、全りん、水生生物)と、環境基準(年間平均値:ph、BOD、SS、DO、大腸菌群数)の比較がされています。
*高知県ホームページ四万十川条例による取り組み: https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/shimanto.html

4.徳島県内での適用事例はあるのか?
 徳島県内で適用された事例があるかどうか把握していません。四万十川水系の河川では定期的に調査が行われているようです。
<参考文献>:1) 高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, 2005.3

 

マダニについてお教えください?

 

フタトゲマダニ 出展 国立感染症研究所

フタトゲマダニ
出展 国立感染症研究所

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マダニの生息する草むら

マダニの生息する草むら


■徳島県内の生息状況は?

 マダニは世界中に800以上の種が知られており、そのうち日本には47種が生息しています。民家の裏山や裏庭、畑、あぜ道など動物が通るところならどこでもいる可能性があります。特に好むのは湿気のある草むらです。寒い冬は落ち葉の陰などに隠れて越冬し、草地の草丈が10cm以上になる頃に活動を開始(地域により異るが5月上旬前後)します。 
 マダニの体内には微生物などが共生体もしくは寄生体として棲みついていることが多く、かまれると感染症にかかることがあります。マダニによる感染症として「日本紅斑熱」「つつが虫病」「重症熱性血小板症候群(SFTS)」などがあり、徳島県では過去10年間において毎年発生が確認されています。発生期間は4月~1月で、特に6月頃が最も多く、登山、ハイキングで山林に入る方や森林作業、農作業などの屋外作業が多い中高年の方を中心に発生しています。 
 SFTSは2013年1月に国内で初めて報告された感染症で、マダニにかまれてから6日~2週間程度で発症します。主な症状は、発熱、嘔吐、下痢、腹痛などですが、重症化すると死亡することもあります。フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニなどがSFTSウィルスを運ぶと考えられており、2014年6月4日までに徳島県を含む西日本13県で61人のSFTS患者が(うち22名が死亡)が確認されています。
 参考:国立感染症研究所 http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

■野外活動する時には,どんな準備が必要か?
 マダニによる感染症にかからないためには、「マダニにかまれないこと」が重要です。
 農作業や山林に入るなど野外に出るときは、長そで、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、腕、足、首などなるべく肌の露出を少なくします。白っぽい色ですべりやすい素材の衣類や靴を選ぶと、マダニが付着しても見つけやすく、マダニも付着しにくくなります。マダニにかまれても、痛みやかゆみはほとんど無いため、屋外活動後は入浴でマダニが付いていなか確認しましょう。また、マダニは野ウサギ、野ネズミ、シカ、イノシシなどの野生動物や、ネコ、散歩中のイヌなどについていることもあるので注意が必要です。

■マダニに刺されたときの対処方法は?
 マダニは皮膚にかみつくと、口器からセメント様の物質を出して皮膚にしっかりと吸着し、長時間(数日から10日間程度)血を吸い続けます。見つけたら早めに取り除くことが肝心ですが、吸血中のマダニを無理に取り除こうとすると、マダニの口器が皮膚の中に残り化膿することがあるので、皮膚科などの医療機関で適切な処置(マダニの除去や消毒など)を受けてください。

ディート構造式

ディート構造式

マダニが寄ってこない忌避剤があるの?
 ディートを虫よけ成分としたスプレー、ティシュなど様々なタイプの忌避剤があります。マダニ、蚊、ブユなど様々な害虫に対して高い忌避効果があり、個人や環境や製品(ディート濃度等)によって差はありますが、1回の使用で一定時間忌避効果が持続します。 忌避剤の使用で付着するマダニ数は減少しますが、マダニを完全に防ぐわけではありません。忌避剤を過信せず、様々な防護手段と組み合わせて対策を取ることが大切です。         ―以上―

 

電柱の上についている 風力計のようなものは,何ですか?

■電柱の上についている 風力計のようなものは,何ですか?(写真-1)

  鳥が巣をつくらないように防止する 『風車式鳥害防止器』(写真-2)です。 
 また、その他にも装置はいろいろあります。

写真-1

写真-1

写真-2 風車式鳥害防止器

写真-2

 

 ■どんな役目があるのでしょうか?

 カラスが枯れ枝や針金ハンガーを取ってきて、電柱のアームに巣(写真-3)を作って
針金ハンガーによる短絡の停電事故が、四国でも年に数件発生しています。
上記の装置で鳥を寄付けない、カラスの巣作り防止効果があります。

写真-3 鳥の巣状況

写真-3 鳥の巣状況






2013年1月に鳴門海峡にクロマグロが回遊していたのは?

クロマグロ

■ なぜマグロは鳴門海峡にやってきたのか?
 2013年1月に鳴門海峡で大型のクロマグロが跳びはねる姿が報道され,話題になりました。跳びはねた大物クロマグロの体重は不明ですが,遊漁者が釣り上げたマグロの体重は30kgほどでした。一方でドラム缶のような大きな個体も跳びはねていたという漁業者の目撃情報もあるくらいです。              標識放流試験からヨコワサイズのクロマグロは太平洋を横断するような大回遊を行うことがわかっていますが,親になると冬には太平洋や日本海を北上し,津軽海峡などで漁獲され,春には産卵のために産卵場である南西諸島周辺海域に南下することが知られています。 2013年1月に鳴門海峡に来遊したクロマグロは太平洋の日本列島周辺海域を南北移動過程で鳴門海峡に迷い込んだものと想像しています。直接の原因は「流れに乗って」なのか,「餌を求めて」迷い込んだものなのか定かではありません。鳴門海峡で数ヶ月を過ごした後,太平洋に出て本来の南北回遊ルートに戻ったものと思います。

■ マグロの市場価格はあるのか?
 クロマグロ(標準和名)はサイズや地域によって呼び名が異なり,体重200~300gのものをコヨコ,シビコなどと呼び1~5kg程度のものをヨコワ,ヨコ,メジ,定義はありませんが,漁師さんは20~30kg以上のものをホンマグロと呼んでいます。体重30kgであれば2,3歳の若魚といったところでしょうか。価格が高いのは100kgを越える5歳以上の大型個体です。体重50kg以下の若魚の価格は脂の乗り具合や品質にもよりますが,kg当たり数千円で,数多く釣り上げないと利益にはなりません。
 徳島県沿岸ではコヨコやヨコワは普通に漁獲され,主にコヨコは養殖用の種苗に,ヨコワは鮮魚として取引されます。県南が養殖マグロの種苗の供給基地になっていることは意外に知られていません。沖合や遠洋で操業する漁船は別にして,本県の沿岸域で20kgを越えるクロマグロは年に数本しか漁獲される程度で,まとまって漁獲されることはほとんどありません。また,20kg以上になると力も強く,普通の仕掛けでは釣り針に掛かっても糸が切れてしまうため,マグロの顔を見ることはないのかもしれません。大きなマグロを釣るにはそれなりの仕掛けや餌の投資がいるため,損をしてまで不確実なマグロを釣ろうとする漁師さんはほとんどいません。また,船舶が頻繁に航行する狭い海域でマグロを釣ることは安全上の問題もあります。

■ 現在の状況は?
 2014年冬にも県南で数十キロサイズが数本水揚げされたことは聞きましたが,2013年のようにまとまって跳びはねる姿は目撃されていません。回遊魚の行動は神出鬼没です。私達が知らないうちに鳴門海峡を回遊しているのかもしれません。クロマグロの回遊は一攫千金の夢のある話ですが,生業として釣り上げるには様々な難しい課題があるのも事実です。     以 上

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