野生サル
「野生動物との共生は難しいのか」
野生動物が人里に出てくるようになり,作物を食害したり,人を襲ったりする原因は,人間自身にあると言われています。最大の原因は「餌付け」です。
「餌付け」は,意図的なものと非意図的なものに分類されます。
「意図的な餌付け」とは,野生鳥獣に対し人間が積極的にエサを与える行為です。
「非意図的な餌付け」とは,例えば畑にやってきて作物を食害しているサルに対し,人間が追い払いなどを行わず,結果的にエサを与えていることになるということを指します。
このような形で,一度野生動物が栄養価が高く味もおいしい,農作物などの「人間の食べ物」を覚えてしまうと,人間の生活圏に執着するようになります。同時に人慣れも進んでしまい,山に返すことは極めて難しくなります。
また,シカやイノシシについては,生息数が増加し続けていると考えられます。日本では天敵であるオオカミが絶滅していますので,人間が捕獲することにより個体数をコントロールするしかありません。
人間と野生動物との共生とは,防護柵などを設置して動物の人間の生活圏への進入を防止しつつ,人間生活に害を及ぼす個体の捕獲や増えすぎた動物の数を管理するための捕獲するなど,緊張感や距離感を持った関係を保つことだと言えます。
「捕獲されたサルの処置」
人間の生活圏に出没するサルについては,人慣れが進んでいないサルについては追い払いを行い,人間は怖いということを学習させることが大切です。ただし,人慣れが進んでしまい被害が発生するなどして捕獲したサルについては,人里への執着を低減させることは極めて難しく,被害を再発させないためには殺処分するしかありません。
このような不幸な野生動物を発生させないためにも,餌付けは絶対にしないでください。
先進事例というわけではありませんが,以上が現在の野生動物管理の一般的な考え方です。