技術士7月号に掲載された「黒い円板」についてお教えください。基準以上の「水のきれいさ」や「人が感じる僅かな水質の変化」を表すことは難しい。そのため…(23p)

 投稿論文内でご紹介した「水のきれいさ」や「人が感じる僅かな水質の変化」を測定する方法は、高知県が定めた「四万十川清流基準」の手引書に基づく方法です。
 高知県はこの手引書の中で、従来の環境基準項目の他に、四万十川清流基準として、清流度、水生生物、窒素、リンの4項目を設定し、四万十川水系の河川において、基準地点、基準値等を定めています。
1.「黒い円板」とは、どんなものか?
 清流度を測定する時には、黒い円板(ブラックディスク)と清流度計を使います。ブラックディスクは、直径20㎝の円板で両面・側面を黒で塗り、持ち手を付けたものです。清流度計は河川の中で水中を水平方向に見るためのもので、内部に45度の角度で鏡をはった箱メガネのようなものです。
 清流度の測定は2人一組で行い、一人がブラックディスクを水中で水平に移動させ、もう一人が清流度計でこれを見て、見えなくなる時の清流度計とブラックディスク間の水平距離が清流度となります。

出典:高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, p.8-9, 2005.3

出典:高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, p.8-9, 2005.3


2.なぜ黒色がいいのか?
 手引書では、つや消しのために黒く塗るとされています。実際に使ってみると、円板が白色だと、太陽の位置やディスクの角度などにより、水中でディスクが見えにくい場合がありました。

3.どのくらいの精度か?
 高知県のホームページ* で、四万十川水系の河川で過去に実施した調査結果が公表されており、四万十川清流基準(清流度、全窒素、全りん、水生生物)と、環境基準(年間平均値:ph、BOD、SS、DO、大腸菌群数)の比較がされています。
*高知県ホームページ四万十川条例による取り組み: https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/030701/shimanto.html

4.徳島県内での適用事例はあるのか?
 徳島県内で適用された事例があるかどうか把握していません。四万十川水系の河川では定期的に調査が行われているようです。
<参考文献>:1) 高知県文化推進課・四万十川流域振興室: 四万十川清流基準調査手引書, 2005.3

 

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