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 今回は阿波の土柱についてお話をしたいと思います。
 徳島県阿波市阿波町桜ノ岡にある「阿波の土柱(あわのどちゅう)」は、土柱層と呼ばれる主に砂礫層で構成された丘陵斜面が地震などで崩落し、その山肌が雨水によって浸食されてできたものです。
 降水によって集まった水の流れは、崩壊地内に露出した土柱層の砂礫層に溝をつくります。降雨のたびに溝は洗掘され、徐々にその深さは成長します。長い時を経てナイフリッジ(ナイフの刃のように鋭く切り立った尾根)や塔状となり土の柱が多数林立する特異な景観を有する現在の姿となりました。
 礫層や砂礫層で形成された地層は数多くありますが、土柱のような形状は世界でも例が少なく、アメリカロッキー山脈、イタリア南ティロル地方と合わせ、世界三大土柱と呼ばれる奇観で国の天然記念物に指定されております。
 阿波の土柱は、「三山六嶽(さんざんろくがく)三十奇」とも呼ばれており、3 つの山にまたがって6 つの嶽で構成されています。
 まず、千帽子(せんぼうし)山には扇子嶽(せんすだけ)、波濤嶽(はとうがだけ)、橘嶽(たちばなだけ)があり、この山の西側500m ほどの場所に位置している円山(まるやま)の五明谷(ごみょうだに)沿いには、不老嶽(ふろうだけ)、筵嶽(むしろだけ)、燈籠嶽(とうろうだけ)があります。
 阿波の土柱は、現在も風雨で浸食され続けており、日々、形を変え続けています。樹木や草などが大きくなりすぎたことが原因で、台風により土柱の一部が崩落したこともあったそうです。
 特に、最近の巨大化した勢力の台風などの影響は大きく、土柱の長さも昔に比べて短くなっているとのことで、部分的にではありますが崩れてきている部分もあるそうです。
 もともと風雨による浸食でできたものなので、この景観を保護するために直接人の手を加えることはできませんが、太古のロマンに溢れた時空を超えたこの贈り物を可能な限り末永く残せるように、様々な方法が色々な分野で検討されているとのことです。
 秋の紅葉シーズンが最も見ごろではありますが、私は冬の雪化粧の土柱もお気に入りです。周遊できる遊歩道も完備されておりますので是非一度足をお運びください。

(建設部門 土質及び基礎)

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